メビウスは、その名前の由来が19世紀のドイツの学者から来ているだけでなく、プリウスαの技術を活用したOEM車としても特異な存在です。
プリウスαとの違い、特に7人乗りグレードの非設定、中古市場での流通量の少なさ、なぜOEM車としてこれほどまでにレアなのか。
この記事ではダイハツメビウスのユニークな魅力に光を当て、徹底解説しています。
ダイハツメビウスは誰が買う?車の概要
ダイハツメビウスはレアなOEM車
ダイハツメビウスは、その誕生背景と市場での立ち位置から見ても、特異な存在のOEM車です。2013年にデビューしたこのモデルは、トヨタの技術力とダイハツのブランドイメージを融合させたハイブリッド車として市場に登場しました。
メビウスが特に注目される理由の一つは、プリウスαとの技術的な共通点にありますが、販売された台数の少なさがレア度を高めています。
加えて、ダイハツメビウスは、OEM車としての独自性を持ちます。トヨタとダイハツの間で合意されたこのプロジェクトは、両社の長所を生かした製品開発を目指しましたが、結果としてメビウス独自のキャラクターを持つ車種として誕生しました。
特に、環境性能に関しては、プリウスαの技術を踏襲しながらも、ダイハツらしいコンパクトさと使い勝手の良さを兼ね備えています。
このように、ダイハツメビウスは、OEM供給の枠を超えた、トヨタとダイハツの強みを活かしたユニークなハイブリッド車です。そのレア度と独自性は、自動車愛好家だけでなく、環境に配慮した車を求めるユーザーにとっても大きな魅力となっています。
メビウスとプリウスαを比較
ダイハツのメビウスとトヨタのプリウスαの主なスペックの比較表です。
項目 | メビウス | プリウスα |
---|---|---|
外装デザイン | エンブレム以外同じ、5人乗りステーションワゴンのみ | エンブレム以外同じ、5人乗りと7人乗りミニバンタイプあり |
ボディカラー | 全9色(新色含む) | 全9色(新色含む) |
ボディスペック | 全長: 4,630mm、全幅: 1,775mm、全高: 1,575mm、ホイールベース: 2,780mm、車両重量: 1,450~1,460kg、乗車定員: 5人 | 全長: 4,645mm(ツーリングセレクション)、全幅: 1,775mm、全高: 1,575mm、ホイールベース: 2,780mm、車両重量: 1,450~1,480kg、乗車定員: 5人/7人 |
インテリアデザイン | ハンドルのエンブレム以外に違いなし | ハンドルのエンブレム以外に違いなし |
パワートレインとスペック | 1.8L直列4気筒ハイブリッド、FF | 1.8L直列4気筒ハイブリッド、FF |
燃費性能 | JC08モード燃費26.2km/L | JC08モード燃費26.2km/L |
安全装備 | トヨタセーフティセンスP全車標準装備 | トヨタセーフティセンスP全車標準装備 |
価格 | グレード体系と価格がプリウスαと同じ | グレード体系と価格がメビウスと同じ |
ダイハツメビウスの名前の由来
ダイハツメビウスの名前の由来は、ドイツ語Möbius(メビウスの輪・永遠の象徴)より、サスティナビリティの象徴/低燃費と広い室内で、どこまでも走っていける車という意味が込められています。(ダイハツ公式より)
「メビウス」という言葉をもう少しひも解いてみます。
数学と天文学で顕著な貢献をした19世紀ドイツの学者、アウグスト・フェルディナント・メビウスの功績から採られています。彼が発見した「メビウスの輪」とは、片面のみで構成され、内外の区別がない、一見すると不可能に思える形状の物体です。
この発見は、単純ながらも深い洞察を必要とする数学の美しさを象徴しています。メビウスの輪は、その一体性や無限の可能性を示すものとして、多くの分野で象徴的に引用されます。
ダイハツがこの名前を選んだ背景には、車両が持つべき環境への優しさと、未来に向けた持続可能な価値を、メビウスの輪の特性に重ね合わせた深い意図があります。
その選択は、ダイハツがメビウスを単なる移動手段ではなく、地球環境と共生するための哲学を持った車と位置づけていることを示唆しています。
めちゃめちゃ素敵ですね。
ダイハツメビウスとプリウスαの違い
ダイハツメビウスとトヨタプリウスαは、外観上および内装において、基本的には同一のデザインを共有しています。そのため、実際にはエンブレムの違い以外、外見上の大きな差異は存在しません。
メビウスには、「S」「S ツーリングセレクション」「S Lセレクション」の3つのグレードが設定されており、これらはプリウスαにも存在するグレードです。この点において、メビウスとプリウスαは価格設定を含めて類似しています。
しかし、プリウスαに設定されている「G」や「GRスポーツ」といったより高性能またはスポーティーなグレードは、メビウスには設定されていません。
また、次の項目で説明しますが、プリウスαに設定されていた3列7人乗りは用意されませんでした。
メビウスとプリウスαのスペックと価格
ダイハツメビウスには7人乗りは設定されなかった
プリウスαには7人乗りのグレード設定がありました。しかし、ダイハツメビウスには7人乗りは設定されていませんでした。
設定しなかった理由は、市場でのポジショニングと製造コストのバランスを考慮した結果だと考えられます。
メビウスは主に環境性能を重視するユーザーをターゲットにしているため、より多くの人を運ぶことよりも、効率的なハイブリッドシステムを重視しています。
ダイハツメビウスは誰が買う?購入者層の紹介
メビウスを買う人とは
ダイハツメビウスを選ぶ購入者は、環境への配慮と車に対する個性的な価値観を共有する特定の層から成ります。これらの消費者は、ただの移動手段としてではなく、持続可能なライフスタイルの一部として車を捉えています。具体的には、メビウスの購入者は以下の特徴を持つ人々です。
- 個性を重視する消費者: メビウスはトヨタプリウスαのOEM車であるにもかかわらず、市場における存在感が比較的低いため、所有すること自体が一種のステートメントとなります。このようなレア度や独自性を求める消費者にとって、メビウスは魅力的な選択肢となります。
- ダイハツブランドのファン: ダイハツはコンパクトカーや軽自動車の分野で高い評価を得ており、そのブランドに対する忠誠心を持つユーザーも少なくありません。メビウスはダイハツが提供する数少ないハイブリッド車の一つであり、ダイハツ特有のコンパクトさと実用性を兼ね備えています。このため、ダイハツブランドのファンにとっても、メビウスは高い魅力を持つモデルと言えます。
- 価値観に基づく購入決定をする層: メビウスを選ぶ人々は、単に価格や性能だけでなく、車が提供する価値やライフスタイルへのフィット感を重視する傾向にあります。彼らは、車選びを通じて個人の価値観やアイデンティティを表現しようとします。
また、ダイハツの社員で比較的大きめなステーションワゴンが欲しい人は、必然的にメビウスという選択をする可能性が高いです。メビウスはそういったコアなニーズにアプローチしているとも考えられます。
あえてOEM車を買う理由
OEM車を選ぶ際の決定要因は、ユニークな価値と経済性のバランスに密接に関連しています。
ダイハツメビウスの場合、トヨタプリウスαの技術を基にしながらも、ダイハツ独自のブランディングにより、特定の市場ニーズに応える形で提供されています。
ここで、OEM車を選択する理由をさらに詳細に掘り下げてみましょう。
- 経済性と価値: OEM車は、オリジナルモデルに比べてコスト削減が図られているケースが多く、これにより消費者にとっての購入コストが抑えられます。※プリウスαとメビウスの場合、同じグレードであれば価格差はありません。
- 限定性と独自性: OEM車は市場における流通量が限られているため、所有すること自体が他と差別化できるポイントになり得ます。メビウスのようなモデルは、一般的な販売台数が限定されており、他人とは異なる選択をすることに価値を見出す消費者にとって魅力的です。
- ブランドへの信頼: 一部の消費者は、OEM供給元のブランドよりも、OEMを受けるブランドに対して特別な信頼や愛着を持っています。ダイハツのようなブランドは、特定のセグメントで高い評価を受けており、そのブランド名の下で提供されるOEM車に対して、特別な信頼感を抱くことがあります。
- 独自のカスタマイズやサービス: OEM車は、オリジナルブランドとは異なる独自のアフターサービスや保証条件を提供することがあります。これにより、同じ基本設計を持ちながらも、消費者のニーズにより細かく対応できる場合があります。
これらの理由から、OEM車を選ぶ消費者は、単に経済性だけでなく、独自性やブランドへの信頼、そしてオリジナルモデルにはない特別な価値を重視しています。特に、ダイハツメビウスのようなモデルは、これらの要素が組み合わさった結果、独特の市場ポジションを確立しているのです。
ダイハツメビウスの販売台数
ダイハツメビウスの販売台数は、2019年のデータで月に5台程度しか売れていません。
これは他の多くの車種と比較して、その極めて高いレア度を物語っています。市場に数多く存在する一般的な車種が月間数百から数千台単位で販売されることを考えると、メビウスの月間販売台数が5台という数字は、顕著な希少性を示しています。
この希少性は、メビウスが特定のニッチ市場を対象にしていること、そして環境意識が高い特定の層に特化して提供されていることから来ています。その結果、メビウスは市場での存在感が非常に限定的となり、同時に所有することが一種のステータスとなっています。
例えば、全世界で広く知られるトヨタプリウスのようなモデルは、その環境性能の高さから年間数十万台単位で販売されており、自動車市場における主流の一角を占めています。このような背景から、メビウスの販売台数が月に5台程度という事実は、市場におけるそのユニークな立ち位置を際立たせています。
ダイハツメビウスの中古車相場
ダイハツメビウスの中古車市場における価格は、新車価格と比較しても比較的手頃な価格で取引されることが多いです。
しかし、その希少性から、状態が良い車両や低走行の車両はプレミアム価格がつくこともあります。中古車を探す際は、車両の状態や走行距離、装備などをしっかりと確認し、適正価格であるかを見極めることが重要です。
また、前述のとおり販売台数が少ないため中古車の流通量も少ないです。2024年2月時点、カーセンサーでメビウスを検索するとなんと2件しか表示されていませんでした。
価格も10年落ちで比較的低走行の車にしては多少高い気もします。
まとめ:ダイハツメビウスは誰が買うのか?
結論、ダイハツメビウスを購入するのは、環境への配慮を重視し、独特の車を求める人々です。ダイハツ社員で仕方なく、という人もいるでしょう。
また、OEM車としてのレア度や独自性を評価し、プリウスαとは異なる特別な車を所有したいと考える人々にも選ばれています。
中古車市場では、その希少性から価値が評価され、適切な価格で購入することができる場合もあります。しかし、球数は限りなく少ないです。
ただ、環境に優しいハイブリッド車を求めつつ、他人とは一線を画した選択をしたいと考えるなら、ダイハツメビウスは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。