こんにちは、Unicarinfoのかんりにんです。ついにそのベールを脱ぎましたね。以前から噂されていたトヨタの次世代スーパースポーツが、2025年12月5日に衝撃のデビューを果たしました。ネット上ではレクサスLFRという名前で予想されていましたが、正式名称は「トヨタ GR GT」およびレーシングモデルの「GR GT3」として発表されました。
この瞬間を待ちわびていた方も多いのではないでしょうか。あのレクサスLFAの生産終了から長い年月を経て、ついにトヨタが世界に放つスーパースポーツ。しかも、昨今の電動化の流れに逆らうようなV8ツインターボエンジンの搭載です。「もうこんな車は二度と出ないかも」と思うと、居ても立ってもいられませんよね。
今回は、この新型車が持つ新開発エンジンの驚愕スペックや、私たちが気になる発売日や価格の予想、そしてグランツーリスモ7への収録情報など、現在判明している膨大な技術資料と業界情報を整理して、どこよりも詳しくお伝えします。
- トヨタの技術を結集したGR GTとGR GT3のスペック詳細
- レクサスLFRではなくGRブランドから発売される理由
- 予想される価格帯と2027年頃の発売スケジュール
- グランツーリスモ7との連携や今後のレース参戦計画
トヨタGR GTとGR GT3の技術的特徴

まずは、今回発表されたトヨタのGR GTとGR GT3が、一体どれほど凄いクルマなのか、その中身について詳しく見ていきましょう。単なるモデルチェンジや既存車の流用ではなく、トヨタの本気が詰まった「技術の塊」であることが分かってきました。
新開発V8エンジンの馬力とスペック詳細
クルマ好きとして一番気になるのは、やはり心臓部であるエンジンですよね。GR GTには、この車のためにゼロから完全新設計された4.0L V8ツインターボエンジンが搭載されています。既存のUR系エンジンの改良版ではなく、全くの別物です。今の時代にあえて大排気量の内燃機関を新規で作ってくるあたり、トヨタの「マルチパスウェイ戦略」の本気度を感じずにはいられません。
公開されたスペックを見ると、その凄みが分かります。エンジン形式はV型8気筒ツインターボで、排気量は3,998cc。この「4.0L」という数字は、GT3レースのレギュレーションにおけるBoP(性能調整)を見据えた最適解だと言われています。
トレンドの「ホットV」レイアウトを採用
特に注目したいのが、ターボチャージャーをエンジンのVバンクの内側に配置する「ホットV(Hot V)」レイアウトを採用している点です。メルセデスAMGやポルシェ、BMWのMモデルなど、世界の最新トレンドとも言えるこの方式ですが、最大のメリットは「レスポンス」と「コンパクト化」にあります。
排気ポートからタービンまでの距離を極限まで短くすることで、ターボラグを最小限に抑え、アクセルを踏んだ瞬間に弾けるようなパワーを生み出します。また、エンジン外側にターボがないため、エンジン全体の幅を抑えることができ、サスペンション設計の自由度も上がっているんですね。
ハイブリッドは「速さ」のためにある
さらに、ロードカーであるGR GTは、この強力なエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせています。しかし、これはプリウスのような燃費重視のものではありません。フロントミッドにエンジンを積み、リアのトランスアクスルにシングルモーターを内蔵する方式で、主な役割は「トルクフィル」です。
システム最高出力は650PS(641hp)以上、最大トルクは850Nm以上を目標としているそうです。シフトチェンジの瞬間のトルク切れを防ぎ、怒涛の加速を持続させるためのハイブリッド。フェラーリ296GTBなどの800馬力超えには数値上及びませんが、AMG GT 63などを凌駕し、このクルマの真価は数値だけでは語れない「意のままに操る楽しさ」にあると思います。
| 項目 | 仕様・目標値 | 技術的備考 |
|---|---|---|
| エンジン形式 | V型8気筒 ツインターボ | 完全新設計ユニット(ホットV採用) |
| 排気量 | 3,998 cc | GT3規定を考慮した最適排気量 |
| ボア×ストローク | 87.5mm × 83.1mm | ショートストロークによる低重心化 |
| 最高出力 | 650PS 以上 | システム合計出力目標 |
| 最大トルク | 850Nm 以上 | モーターアシスト含む |
| 潤滑方式 | ドライサンプ | 低重心化と高G旋回時の油圧安定 |
レクサスLFRではなくGRを選んだ理由
正直、私もずっと「レクサスLFAの後継だからLFRになるはず」と思っていました。実際、海外のスクープ記事や商標登録の動きもそれを裏付けていましたからね。しかし、蓋を開けてみれば「GR」ブランドからの登場でした。これにはトヨタグループ内での明確な「役割分担」の変化があるようです。
GRとLexusの明確な境界線
トヨタとしては、ブランドごとの役割をはっきり分けています。「Lexus」は「Lexus Electrified」を掲げ、電動化と知能化による次世代のラグジュアリーパフォーマンスを進めるブランドとして舵を切りました。今回同時に「Lexus LFA Concept(BEV)」が発表されたことからも、レクサス=電動スーパーカーという図式が見て取れます。
一方で、「GR (Gazoo Racing)」は、内燃機関(ICE)とハイブリッド技術を使って、野性的でモータースポーツ直結のドライビングプレジャーを追求するブランドという位置づけです。泥臭く、油臭く、そして最高にエモーショナルな領域を担います。
北米市場での販売戦略
V8ツインターボという内燃機関の極致を搭載するこのクルマにとって、GRというブランドこそが最も相応しい「棲家」だったということですね。名前こそ違いますが、実質的にはLFRとして噂されていた開発プロジェクトが、エンジンの「GR GT」と、電気自動車の「Lexus LFA Concept」へと分化して結実したと考えるのが自然でしょう。
ただし、北米市場などでは一部のレクサスディーラーを通じて販売される可能性も残されています。ブランドはGRでも、顧客へのホスピタリティやメンテナンス体制はレクサスクオリティが提供されるかもしれません。
車両重量とアルミフレーム構造の秘密
スーパーカーといえば、カーボンファイバー(CFRP)製モノコックが定石です。実際、先代のLFAもカーボンフレームでした。しかし、GR GTでは驚くべきことにトヨタ初の「オールアルミ・ボディフレーム」が採用されました。「えっ、カーボンじゃないの?退化した?」と思った方、それは早計です。ここには、レースで戦うための極めて合理的な理由があります。
なぜカーボンではなくアルミなのか
最大の理由は「戦うため」です。GT3レースなどの現場では、他車との接触事故は日常茶飯事です。カーボンモノコックは軽くて強いですが、一度クラッシュして破損すると修復が極めて困難で、場合によってはフレームごと全交換となり、莫大なコストがかかります。
一方、最新技術で設計されたアルミスペースフレームは、部分的な修復が容易です。これは、プライベーターチームが車両を購入し、世界中でレース活動を行う際のランニングコスト低減に直結します。もちろん、剛性に関しても、最新の鋳造技術と押出材のハイブリッド使用により、かつてのカーボンフレームに匹敵するねじり剛性を確保しているとのことです。
理想的な重量配分を実現
車両重量は1,750kg以下を目標としています。現代の安全基準を満たし、ハイブリッドシステムとV8エンジンを積みながらこの重量に抑えているのは流石です。
また、重量配分もフロント45:リア55と、明確にリア寄りになっています。フロントミッドシップでありながら、トランスミッションとデファレンシャル、そしてモーターをリアアクスル側に配置する「トランスアクスルレイアウト」を採用することで、強力なトラクションを生み出し、コーナーからの脱出速度を最大化する設計になっています。
アルミフレーム採用のメリットまとめ
- 最新の接合技術により、カーボンに匹敵する高剛性を実現
- レースでの接触時など、破損した際の修理コストを大幅に抑制
- 設計の自由度が高く、将来的なアップデートにも対応しやすい
最高速度を支える空力デザインの凄み
GR GTのエクステリアデザイン、ものすごくアグレッシブで機能的ですよね。実はこの形、デザイナーがスケッチを描いて決めたのではなく、空力エンジニアが作った「機能の塊」に、後からデザイナーが皮を被せるような、通常とは逆のプロセスで作られたそうです。これをトヨタは「Aerodynamics First(空力優先)」と呼んでいます。
320km/hの世界を制するロングノーズ
最高速度320km/h以上を想定しているため、空気抵抗を減らしつつ、車体を地面に押し付けるダウンフォースを確保することが至上命題です。あの特徴的な長く低いノーズは、エンジンをキャビン側に押し込んで重心を下げるだけでなく、前方からの空気を剥離させずにスムーズに後方へ流す「ラミナーフロー(層流)」を作り出すための必然的な形状なのです。
また、冷却性能も重要です。ホットVレイアウトのV8ツインターボは膨大な熱を発します。フロントフェンダー後方の巨大なアウトレットや、ボディ各所に設けられたダクトは、単なる装飾ではなく、計算され尽くした熱交換の出口です。
GR GT3だけの特別な翼
レース車両のGR GT3には、さらに過激な空力デバイスが装着されます。特に目を引くのが大型のリアウィングです。
GR GT3の注目パーツ:スワンネック・リアウィング
ウィングを上部から吊り下げる「スワンネック」形状が採用されています。ウィングは実は「下面」の空気の流れが重要で、上から吊るすことで下面の気流をステーで邪魔することなく、効率的に強力なダウンフォースを生み出すことができます。
LFAコンセプトとの違いと関係性
同時に発表された「Lexus LFA Concept」についても、GR GTとの関係性を整理しておきましょう。名前が似ているので混乱しやすいですが、中身は全く別のパワートレインを持っています。
Lexus LFA Conceptは、GR GTと同じアルミフレームの基本骨格を共有していますが、心臓部はピュアなBEV(バッテリー電気自動車)です。おそらく、トヨタが開発を進めている「全固体電池」の搭載を視野に入れたモデルだと思われます。
魂を継承する2つの道
GR GTが空力パーツ満載の「武闘派」だとすれば、LFA Conceptはレクサスらしい流麗でシームレスな、エレガントなデザインに仕上がっています。「LFA」という伝説的な名前を、エンジンのないEVの方に冠したのは、レクサスが「エンジンのない時代」においても、かつてLFAが持っていた感動やドライビングプレジャーを絶対に継承するという、強い意志の表れだと私は感じました。
つまり、LFAの精神は「内燃機関の極致であるGR GT」と「電動化の未来であるLexus LFA Concept」の2つに分岐し、それぞれが頂点を目指すという、非常に贅沢な展開になったわけです。
トヨタGR GTとGR GT3の価格と発売日

さて、ここからは私たちが一番気になる「いつ買えるのか」「いくらで買えるのか」という現実的な話に移りましょう。もちろん公式発表はまだ先ですが、現状公開されている情報や過去のスーパーカー市場の動向から、かなり具体的な予想ができます。
2027年頃となる発売時期の最新情報
まず発売時期ですが、現段階(2025年末)ではまだプロトタイプの発表です。ここから世界中の道や過酷なサーキット(特にニュルブルクリンク)で走り込みを行い、さらに磨き上げられていくことになります。
開発には、マスタードライバーである「モリゾウ」こと豊田章男会長や、プロドライバーたちが徹底的に関わっています。彼らの「壊れるまで走れ」「もっとやれ」という厳しいダメ出しをクリアするには、まだ時間が必要です。
業界の動向やレース参戦のスケジュールを考えると、ロードカーであるGR GTの発売は2027年頃になる可能性が高いです。レース車両のGR GT3が2026年から先行してサーキットデビューする予定なので、そのレースでの活躍やデータをフィードバックしながら市販車が登場する、という流れになりそうですね。まだ少し先ですが、購入資金を貯める期間ができたとポジティブに捉えましょう!
2500万円からとなる販売価格の予想
気になるお値段ですが、決して安くはありません。しかし、そのスペックと内容を考えると、スーパーカー市場においては「バーゲン」になるかもしれません。
かつてのLFAは3,750万円で販売されましたが、あれは手作りのカーボンモノコックや専用V10エンジンなど、採算度外視のコストがかかっていました。今回のGR GTは、オールアルミフレームを採用することで、ある程度の量産性とコストダウンを図っています。
とはいえ、新開発のV8ツインターボ、高性能なハイブリッドシステム、カーボンセラミックブレーキなどを標準装備することを考慮すると、2,500万円前後から3,000万円程度になると予想されます。この価格帯は、ポルシェ911ターボやアストンマーティン ヴァンテージといったライバルたちを強く意識した設定と言えるでしょう。
価格に関する注意点
昨今の原材料費高騰や円安の影響で、実際の発売時には予想価格より上がる可能性があります。また、限定生産になる可能性もあり、プレミア価格がつくことも想定されます。
WECなどレース参戦計画と日程
このクルマが生まれた本来の目的は、やはり「レースで勝つこと」です。現在トヨタ(レクサス)が世界中で走らせている「RC F GT3」は、市販のラグジュアリークーペをベースに改造した車両だったため、重量が重く、重心が高いという不利を抱えていました。
しかし、GR GT3は最初から「GT3カテゴリーで勝つこと」を目的に設計されています。低重心、空力、整備性、すべてがレース基準です。具体的な参戦計画としては、以下のカテゴリーへの投入が見込まれています。
- WEC(世界耐久選手権): 2026年シーズンからLMGT3クラスへ本格参戦が見込まれます。ル・マン24時間レースでの雄姿が見られるはずです。
- IMSA(北米): アメリカの人気レースシリーズ。コルベットやポルシェ、マスタングとしのぎを削る激戦区に投入されます。
- SUPER GT(日本): 国内最高峰レースのGT300クラスにおいて、プリウスGTやRC F GT3の後継として登場するはずです。
特にSUPER GTでは、豊田章男氏がオーナーを務める「ROOKIE Racing」が開発の先兵となって、発売前から実戦テストを行う可能性が高いですね。
(出典:TOYOTA GAZOO Racing 『GRのクルマづくり』)
グランツーリスモ7への収録と配信日
私を含め、2500万円の実車は買えなくても、多くの人が一番手軽にGR GTを体験できるのがPlayStationのゲーム「グランツーリスモ7(GT7)」ですよね。実車発表直後のアップデートではまだ追加されていませんが、これまでのトヨタとグランツーリスモの蜜月関係を見れば、収録は時間の問題です。
バーチャル開発という新しい手法
実は、トヨタはGT7の開発元であるポリフォニー・デジタルと連携し、車両のデジタルデータを共有しています。世界中のプレイヤーがバーチャル空間でGR GTをドライブし、その走行データ(ラップタイムや挙動特性)を収集して、実車のサスペンションセッティングや電子制御のチューニングに活かす「e-Motorsport」の開発手法が取られている可能性もあります。
早ければ2026年1月の東京オートサロンなどのイベントに合わせて、アップデートで配信される可能性があります。コントローラーを握って、そのV8サウンドを聴ける日が待ち遠しいですね。
トヨタGR GTとGR GT3のまとめと展望
最後に、今回のトヨタGR GTとGR GT3についての情報をまとめます。このクルマは、単なる新型車以上の意味を持っています。
まとめ
- GR GTは内燃機関への愛が詰まった、トヨタ最後の純エンジン系スーパーカーになる可能性が高い
- レクサスLFRではなく、モータースポーツ直系の「GR」ブランドから登場し、役割分担が明確化された
- 発売は2027年頃、価格は2,500万円〜3,000万円程度と予想されるが、内容はそれ以上の価値がある
- レース(GT3)での勝利を最優先に設計された、低重心・高剛性の本気パッケージング
このクルマは、急速に電動化へと向かう自動車業界の中で、トヨタが見せた「意地」のような一台だと感じました。便利で静かな電気自動車も素晴らしいですが、やっぱり心震えるような音と振動、ガソリンの匂いを感じられるスポーツカーは最高です。
かつての2000GTやLFAがそうであったように、GR GTもまた、時代を超えて語り継がれる名車になる予感がします。今後も新しい情報が入り次第、Unicarinfoで紹介していきますので、ぜひチェックしてくださいね!

